“非対面”はラクじゃない!?ドライバーのリスクと対処法
2023-09-8 フェリクシード Logicco , ロジッココラム
昨今、宅配の再配達削減や犯罪防止などの目的から「置き配」や「宅配ボックス」、「在宅時の非対面受け渡し」、「受領印のサインレス」が広がっています。
これらは受取人のお客様に便利なサービスであると同時に、ドライバーにとっても負担軽減になります。
しかし、これらのサービスは便利でラクなだけではありません。デメリットやリスクも存在しますし、一つ間違えるとトラブルやクレームに発展するので、ドライバーとしては十分な注意が必要です。
そこで今回は、置き配や非対面などが広がる今だからこそ、宅配ドライバーが気を付けるべきポイントを考えてみます。
置き配、非対面のメリット
そもそも置き配や宅配ボックスを含めた非対面受け渡しのメリットとは何でしょうか。
お客様にとってのメリット
- 時間やスケジュールを気にせず荷物を受け取れる(置き配、宅配ボックスなど)
- 煩わしくない。家事や仕事の手を止めずに済む(在宅での非対面受け渡し)
- プライバシー確保や防犯、感染症予防になる
ドライバーにとってのメリット
- 再配達の手間が省ける
- サイン(受領印)をもらう手間が省ける
- 接客の手間が省ける
こうして整理してみると、置き配や非対面受け渡しのメリットは、「お客様とドライバー双方にとって効率が良い」ということに集約できるでしょう。
置き配、非対面が推奨される背景とは?
置き配や在宅での非対面受け渡しなどが推奨される背景はいくつかあります。
①物流の2024年問題
背景のうち最も大きなものが、「物流の2024年問題」といえるでしょう。
働き方改革関連法が自動車運転業務にも2024年から適用されることで、勤務時間の上限規制が厳格になり、ドライバー不足が深刻化して、今までのような物流が維持できなくなるといわれています。
このため、業務効率を上げることが不可欠となっています。
②減らない再配達
国土交通省が発表している2022年10月の再配達率サンプル調査によると、宅配大手3社(佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸)の再配達率は11.8%です。
コロナ禍以前と比べれば多少下がったとはいえ、2025年度に7.5%程度まで下げるという政府の目標に対しては程遠い状況です。
このため、2023年4月には国交省と宅配業界、通販業界は「再配達削減強化PR月間」と銘打って、置き配や宅配ボックス、非対面の活用を呼び掛けています。
③宅配業者を装った強盗
元々宅配は一般家庭の敷地に入るため、ドライバーに悪意がなかったとしても確認を怠ったり、出過ぎたことをしてプライバシー侵害や不法侵入などのトラブルになることもありました。
さらに、最近では宅配業者を装った強盗事件が相次ぎ社会問題となりました。
そこで2023年4月20日、警察庁と宅配大手3社は、置き配など非対面の受け渡しを促進することで合意したと報道されました。
ドライバーにとってのデメリット・リスクとは!?
便利で効率的な置き配や在宅時の非対面受け渡しなどですが、良いことばかりではありません。
そこで今度は、デメリットやリスクについて具体的に見ていきましょう。
①盗難・紛失のリスクがある
玄関先に置いておくということは当然ながら盗難・紛失のリスクはあります。
②受領印がない=証拠が残らない
伝票に受領印(サイン)をもらうことで、間違いなく配達した、という証拠になります。
実際、受け渡したのに「届いていない」と連絡してこられるケースはあります。
サインがあれば配達済みを説明できるのですが、サインがないことで証明するものがなくなってしまいます。
③一部荷物では不可能(貴重品、生もの、代引など)
上記①とも関連しますが、貴重品や生もの、代引など置き配や非対面での受け渡しが不可能なものあります。
もしうっかり(またはラクしようとして)置き配をしてしまえば、クレームやトラブルの原因となります。
④誤配(住所、お名前の確認ができない)
ドライバーは誤配しないよう何度も慎重に住所確認をします。そのうえで最後に直接お客様に確認をして荷物をお渡しします。
住所が合っていても過去の入居者さん宛の荷物というケースもあるので、本当は直接お客様に確認をしたいところです。
しかし、不在での置き配ではお客様への確認ができません。
在宅時の非対面受け渡しではインターフォン越しに確認することになりますが、口頭でのお名前確認となり、お客様の聞き洩らし、聞き違いが発生する可能性もゼロではありません。
⑤荷物をその場で確認してもらえない(損傷や汚れ)
長距離の輸送中に何かの拍子で箱がつぶれてしまった、雨天などで箱が濡れたり汚れたりしてしまった等、渡す側のドライバーとしても荷物の中身が大丈夫なのか不安になるときもあります。
対面で受け渡すときは、お客様に事情を説明して中身の確認を依頼することもできますし、その場で確認してもらった結果、損傷があればすぐに代品の手配などの対応も取れます。
しかし、置き配はお客様に説明できませんし、在宅していてもインターフォン越しの説明ではお客様の顔が見えず伝えづらいものです。
⑥お客様との人間関係がつくれない
対面での受け渡しであれば、短時間ですが接客が発生します。
ドライバーとしては身だしなみ、表情、態度などに気を使わなければなりませんが、お客様と短いながらも会話する中で、お客様の人となりや状況を知ることができることもあります。
また、「一生懸命なドライバーさん」「笑顔の素敵なドライバーさん」等の好印象をもっていただければ、次回以降の配達が何かとスムーズに進むようにもなりますし、クレームも受けにくくなります。
それらがなく、顔の見えない関係になると、何かあったときにもお客様のことが分からないので、様々な対応が手探りになったり、クレームに発展しやすくなってしまいます。
つまり人間関係を築けないことによるデメリットがあるということです。
リスクをどう回避する?どう緩和する?
では、このようなデメリットやリスクは、どのようにすれば緩和したり、回避したりできるのでしょうか。
①紛失・盗難のリスクに対して
基本、紛失・盗難のリスクも出荷人様や受取のお客様がご理解のうえで行うものではあります(承諾がないものを勝手にしないように!)。
ただし、配達をした証拠を残しておく、という意味では写真を撮っておいたほうがいいでしょう。
②写真で記録を残す
上記①と同様に、荷物を置いたところを写真で残しておくという方法はあるでしょう。
これは宅配ボックスに投函した場合も同様で、何番のボックスに投函したか、不在連絡票を何号室のポストに入れたか等も写真に残しておくことで後々のトラブル防止につながります。
ただし、個人情報やプライバシーに関わるものは写さない、一定期間過ぎて必要がなくなったら削除するなどの配慮も必要です。
③丁寧な説明や事前連絡
置き配や非対面ができない荷物の場合は、丁寧にご説明して対面でご対応いただくことが必要になります。
お客様にご理解、ご協力いただけるように、丁寧で分かりやすい説明を心がけましょう。
また、求められたら身分証(社員証)の提示ができるようにしておくことも必要でしょう。
④不安があるときは安全策をとる
在宅時の非対面配達では、お名前の確認を確実に、フルネームで行いましょう。
また、住所確認、お名前確認がどうしても取れない場合、不安が残る場合は、急いで配達せずにいったん持ち戻るという安全策をとることも必要です。
⑤梱包が崩れていたり汚れているとき
中身の荷物の損傷が気になる場合は、非対面を希望されたとしても、インターフォン越しであってもお客様に説明してご確認をお願いすることが必要になるでしょう。
また、不在の場合は、急いで置き配をせずに、不在連絡票に事情を説明して持ち帰った旨を書き添えて投函するという判断も必要です。
⑥お客様との関係がつくれない
置き配の場合はいかんともしがたいのですが、在宅での非対面希望の場合、インターフォン越しの言葉遣い、声のトーンで好印象を持ってもらえるようにすることはできるでしょう。
また、常日頃から配達中は近隣住民の皆さんに見られていることを意識して、身だしなみや態度に気を付けることで「毎日見かけるあのドライバーさんは感じのいい人」といった印象を持ってもらえれば巡り巡って効果が出てくることもあるでしょう。
いかがでしょうか。
一見便利で、ドライバーにとっても負担軽減になりそうな置き配などの非対面受け渡しですが、デメリットやリスクもあります。
正しく認識して、適切な対応をしてデメリットやリスクを緩和、回避していきましょう。
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